こんにちは。住宅業界の中の人、リカコです ^o^/
イケアのシステムキッチンてオシャレですよね~´∀`
日本のキッチンメーカーはデザインが保守的なので、イケアは唯一無二の存在感です。
北欧風テイストが好きな方には、たまらないと思います。
一年程前、そんな北欧風テイストが好きな友達からこんな電話がありました。
「イケアのキッチンにしようかなと思って、来週ショールームに行こうと思うんだけど、どう思う?」
はい、私、即答しました。
「やめといたほうがいいよ」と....
本日は、住宅業界で働く私が、
どうしてイケアのシステムキッチンをオススメできないのか、
について書いて行こうと思います。
イケアのシステムキッチンをオススメできない理由
オススメできない4つの理由
① 施工してくれる会社が嫌がる可能性大
② 今のシステムキッチンは家電だ!
③ システムキッチンの弱点は扉
④ アフターサービスは大丈夫か?
① 施工してくれる会社が嫌がる可能性大
日本のキッチンメーカーの場合、基本的に組み立て作業は、メーカー指定の専門の職人さんが2、3人ほどやってきて組み立ててくれます。
壁とシステムキッチンの隙間のコーキングも、その職人さんによって行われます。
システムキッチンは、あの完成形でど~んとやってくるわけではありせん。
かなり細かいパーツに分かれていて、それを組み立ての前日に宅配業者さんの大型運搬車に載ってやってきます。
ここで注意していただきたいのが、キッチンを組み立る前に必ず終わらせておかないといけない工事があるのです。
写真をご覧ください。
このように、給水や排水の管をメーカーが指定した位置(ミリ単位で指定)に出しておかなければなりません。
給水や排水だけでなく、IHコンロや食洗機、照明などの電気配線も済ませておかなければ組み立て作業には入れません。
さらに取り付ける壁面にビスで固定するための下地(木製)を大工さんにお願いして工事しておかなければなりません。
その指定した位置が違っていたり、取り付ける壁の構造に問題があると組み立て作業ができません。
ですので大抵の場合、設置できるかの確認の為、組み立て予定日の何日か前にメーカーの人や組み立てる職人さんに現場に来てもらって最終チェックしていただきます。
万全の体制で組み立て日を迎えなければなりません。
上記の作業をスムーズに行えないとスケジュール的にロスがでたり、職人さんの手配が難しくなったりします。
イケアのキッチンを完璧に把握していない住宅会社さんにとっては、少々リスキーです。
ですので、「どうしてもイケアのキッチンをいれたい」と希望されるお客様がいらっしゃった場合、私だったら、リスキーな点を箇条書きにして念書を交わすかことをするかもしれません。
イケアの排水配管の形状が、日本のものとは少し違うという口コミも目にしましたので、設備業者さんに日本の配管に変更してもらえるかを確認しておく必要もあります。
ショールームも各都道府県にありませんので、ショールームが近くにないと分からないことを聞きに行くだけでも大変です。
分からないことがあれば、お店に聞きに行ける距離にイケアがあることが重要です。
そういった日本の住宅工事現場の状況をイケア側としても把握していますので、数は少ないですが、一連の工事を行ってくれる工務店さんと提携していているようですので、ホームページで確認してみてください。
ページの下の方にありますのでPDFデータをダウンロードしてください。
注文住宅やリフォームでイケアのキッチンを希望される場合は、
契約前に、住宅会社にその旨、お伝えしておきましょう。
イケアのキッチンが夢だったお客様にとっては、
住宅会社から「うちでは無理です」と言われたらショックですよね?
快く引き受けてくださる住宅会社や工務店を見つけることが第一です。
あとは、要望にフレキシブルに対応してくれる設備屋さんが見つかれば実現できるかもしれません。
その場合でも、やはりリスキーであることは覚悟しておいた方がよいでしょう。
② 今のシステムキッチンは家電だ!
元々システムキッチンは、キャビネットと呼ばれる箱にコンロとシンクがついた単純なものなんですね。
昔のコンロは台の上にのっかっているだけでしたし、水道も手動の水栓金物が付いているだけのシンプルな構造でした。
しかし、最近はIHコンロにはじまり、
手をかざすと反応して自動に水がでる水栓、
ビルトインの食洗機、
天袋(吊戸棚)が電動で降りてきたり....
便利になった反面、故障したときが大変なんです!
ですので、イケアでシステムキッチンを選ぶ際も、コンロ、水栓金物(蛇口)、換気フード、食洗機は日本製で選ばれることをオススメします。
できればお住まいの地域にメーカーの営業所があり、故障した場合にすぐ来ていただけると安心です。
イケアのホームページを調べても、コンロやフードなどの保証についての記載を見つけることができませんでしたが、機器メーカーの1年間保障は付いているはずですので、検討の際には保障関係をイケアに確認されるとよいでしょう。
③ システムキッチンの弱点は扉
これはあまり知られていないことかもしれませんが、収納の扉が壊れやすいんですね。
開閉の頻度も多く、忙しい家事の中で丁寧に扱うのは難しいですよね。
最近の日本のキッチンメーカーは、スライドレール式の引き出し収納が主流です。
これは、イケアのキッチンでも同じです。
醤油やキッチン用のお酒、油やみりんなど重たいものの収納が多いですよね。
特にこれらのものは、同じ場所に収納されている方が多いかと思います。
何年も重たいものを同じところに入れておくと、荷重でスライドレール金物がゆがんだり、沈んだりしてスライドしなくなります。
この点では、イケアの方がスライドレールや開き扉の蝶番はしっかりしている印象があります。
しかし、システムキッチンは何十年も使っていくものです。
何十年も経つとそのシステムキッチン自体が廃盤になっていたり、メーカー在庫の部品がなくなったりして修理できない可能性がでてきます。
イケアが日本に進出してまだ日が浅いので、部品の在庫をどのくらいの期間ストックしているのかは不明です。
イケアでキッチンを選ぶ場合は、好みのパーツを選択して自分好みのシステムキッチンを作り上げていくことになりますので、できれば引き出し式ではなく開き戸を選ばれるとよいと思います。
これは日本のメーカーでも同じなのですが、長く使うことを重要視されている方は、断然、開き戸の方が長持ちします。
開き戸の方が単純な構造ですし、例え壊れたとしても、蝶番が目に見える場所にありますので直しやすいんですね。
ただ開き戸の方が、収納部分が大きな空間になりますので、収納が苦手な方にとっては使い勝手が悪いかもしれません。
ですので、重いものを入れるスペースだけ開き戸して、あとはスライドレールの引き出しにされるといいですね。
部品のストック期間が不明なので、イケアのシステムキッチンにする場合は、特に、開き戸のスタイルをオススメします。
④ アフターサービスは大丈夫か?
イケアのホームページの中に、
『 キッチン導入時の各種サービス 』のよくある質問
というページがありますので、イケアのキッチンの導入をお考えの方は、必ず読んでおきましょう。
日本でのイケアのシステムキッチンの歴史が浅いため、ネット検索でもなかなか情報を集められないのが現実です。
分からないことや不安なことは、直接イケアに聞いて解決するしかありません。
しかし、一般のお客様が、施工の技術的なことや、設置に必要なことについて質問することは難しいかと思います。
知らない分野は、そもそも「何を質問すればよいのか分からない」ということはありませんか?
その点、プロは経験上、キッチンを設置する場合においてどんな問題が発生する可能性が高いかを知っています。
ですので、イケアに質問をする時も、工務店さんや設備屋さんに連絡してもらうのが的確な質問ができるのでよいです。
しかし、やはりリスキーなので、
『 ① 施工してくれる会社が嫌がる可能性大 』
かなぁと正直思います。
まとめ
イケアのシステムキッチンをオススメできない理由をお話しましたが、
それでも、
「うちは、絶対イケアのキッチン入れるんじゃー!」
という方は、
・少々のトラブルを楽しめる勇者
・身内や友達に工務店や設備業者がいる
・キッチンを買い換えるサイクルが短い
・DIY好き!(好きだけではなく、スキルがある)
・外人
こんな感じでしょうか。
デザイン的に需要はあるのは間違いないので、
日本のキッチンメーカーとタイアップして売り出していただけないかなぁ、と思うリカコなのであります。